床義歯

床義歯(入れ歯)について

現在、世界中で作られている総入れ歯は全て、ハグミに総入れ歯を密着させ、吸着力とその周りの筋肉等のサポートによって総入れ歯の維持と安定を図る日本式の方法が使われています。この方法による総入れ歯は、人口臓器として非常に古い歴史があります。

 

咀嚼・発音・密着性などの機能回復率は、口腔組織の状況にもよりますが、よほどの悪条件ではない限り、70%以上を達成でき、歯科医療用具を代表する最も優れた人口臓器として、歯科医療の中でも重要なポジションに位置しています。

 

40年以上、歯科技工士をしていた人に聞いてみると、実際に総入れ歯を使用しているほとんどの人は、苦痛や不満で溢れそうな状況であると教えてくれました。

 

総入れ歯を必要としている患者さんが、財務的にも時間的にも浪費することなく、快適な入れ歯を手にするために、患者さん自身が総入れ歯についての知識を身につけることが大切です。

 

過去に多くの歯科医院に通院し、小さな詰め物から部分入れ歯、総入れ歯に至るまで多くの経験をしている人も少なくないでしょう。

 

不安な思いをすることなく、快適な総入れ歯を手に入れるために、現在装着している総入れ歯と、快適な総入れ歯は何が違うのかを知り、総入れ歯を装着することによって、身体の機能障害を解決し、快適な総入れ歯を入手し、楽しい社会生活を送っていただければ幸いです。

 

そのためには従来のように、歯科医師・歯科技工士・衛生士など専門家の情報を鵜呑みにするのではなく、実際に総入れ歯を使用する人として、総入れ歯製作時の一員として積極的に自らが参加し、快適な総入れ歯作業に向かい合っていくことが大切なのです。

 

総入れ歯は、制作方法や材料の違いによって快適性や強度の向上を望めるのです。

 

 

 

 

【チタン床義歯について】

義歯の床材料には、レジン(樹脂)や金属が用いられます。レジンは変形しやすいため、強度を求めると厚くなってしまい異物感が強くなってしまいます。金属は、その欠点を補うことでき、中でも当医院で使用しているチタンは、他の金属にない優れた特徴(非常に軽く、生体親和性に優れ、アレルギーの心配なし)を持っています。チタンを用いた総義歯の製作行程。1,印象採得。顎の形を印象材でお採りし、型に石こうを流して顎の模型を作ります。この模型が、総義歯製作の基になります。2,設計・模型調整。義歯の外形、金属部の形状などを模型上で設計し、緩衝の必要な部位 にはリリーフをほどこします。3,複印象・耐火模型製作。設計を終えた石こう模型を印象用フラスコの中に入れ、寒天印象材を流し込みます。寒天印象材が固まったら石こう模型をはずします。そこに耐火模型材を流し込み、硬化後取り出します。こうして石こう模型と同一の、耐火模型材でできた複模型が出来上がります。4,ワックスバス。溶融したロウ(ワックス)の中に複模型を 漬け、強度を向上させます。5,ワックスアップ・スプルーイング。板状のワックス(シートワックス)や線状のワックス(ラインワックス)を用い、義歯の金属部分を形成します。ワックスで作った部分全てが金属に置き換えられるので、大変重要な作業となります。出来上がったら、先程より太めのラインワックスなどで、溶解された金属が流れるための通路を設けます。6,埋没。ワックスアップされた複模型を、鋳型材の なかに埋め込みます。7,焼却・鋳造。鋳型材をファーネスの中に入れ、徐々に 昇温させ約1000℃まで加熱し、ワックスを焼却します。その鋳型材を鋳造機にセットし、溶解した金属を流し込みます。8,掘り出し・埋没材除去・酸浴。鋳型が冷えたら金属を取り出します。酸化アルミやカーボランダムの粒、ガラスビーズなどを高圧で吹き付け、金属に焼き付いた鋳型材を取り去ります。その後鋳造体を薬液に漬け、酸化膜を除去します。9,試適・研摩。余剰部分をカットし、石こう模型に試適 し、微調整を行います。石こう模型に適合させたあと、荒研磨、中研磨、仕上げ研磨の順で研磨していき ます。10,咬合床製作。出来上がった金属とワックスで基礎床と咬合堤からなる咬合。11,咬合採得・咬合器付着。咬合床を患者さんに装着していただき、咬み合わせを咬合床に記録します。その際、顔の中心や口の大きさ、口唇の厚さなどを人工歯選択、排列の参考 にします。そして咬み合わせの記録された咬合床を用いて、上下顎の模型を咬合器に付着します。12,人工歯排列・歯肉形成。患者さんに適した人工歯を選択し、排列します。咬み合わせの回復はもちろんのこと、患者さんのキャラクターも表現される部分ですので、とても 重要な作業となります。歯茎の部分も、顔貌や発音、唇や舌の触感などを左右するので注意深く形成していきます。13,口腔内試適。咬合器上で人工歯の排列、削合、歯肉形成が終わった義歯のことを蝋(ロウ)義歯といいます。そのロウ義歯を今一度患者さんの口腔内に適合させ、排列を調整します。14,埋没。ロウ義歯のワックス部分をレジンに置き換えるため、ロウ義歯を埋没用フラスコの中に石こうで埋没します。15,流鑞・レジン填入・重合。埋没用フラスコの中のワックスを、お湯で流し去り、義歯の陰型を作ります。そこに、餅状にしたレジンを填入、加圧した後、加熱することにより、レジンの重合を完全遂行させます。完全に重合されたレジンは丈夫で変形や刺 激の少ない義歯の必要条件です。16,咬合器再付着。埋没用フラスコの中の石こうを壊し、義歯と石こう模型を取り出し、再び咬合器に付着します。17,削合調整・研摩・義歯完成。咬合器上で人工歯を削りながら、咬み合わせを調整した後、研磨作業を行い、義歯を完成します。18,口腔内調整・装着。患者さんの口の中で最終的な調整が行われ義歯が装着されます。